人見知りの社内SEが、現場と話すときに気をつけている3つのこと
私は製造業で働く社内SEです。そして、根っこは人見知りです。
特に、人と目を合わせるのが苦手です。現場の人と話す場面では、いつも緊張します。
それでも、現場の困りごとを解決するには、現場の人と話さないと始まりません。試行錯誤するうちに、「話し上手でなくても、これだけ気をつければ話は進む」と思えることが3つ見つかりました。
同じように、人と話すのが得意ではないIT担当の方や、これから現場と関わる方の参考になればうれしいです。
1. メモもパソコンも手放して、現場の作業を見せてもらう
打ち合わせで、私はノートを取りません。パソコンをタイプしながらの会話もしません。
相手は、現状を変えたくて相談してくれています。その人の話を聞きながら下を向いて手を動かすのは、失礼だと思うからです。もう一つ、問題の本当の原因は、会話の中の小さな一言に隠れていることがあるからです。
メモや議事録は、録音と文字起こしで残せます。録音は、打ち合わせの案内で事前に了承を得たり、会議の冒頭で一言断ったりして行っています。記録は後から作れますが、その場で聞き逃した言葉は戻りません。
作業を見せてもらい、気持ちに寄り添う
可能な場合は、実際の作業を見せてもらいます。雑談が苦手な私にとって、作業を見ながらの会話は話題に困らず、ありがたい時間です。
見ているときは、相手の大変さに共感することを大切にしています。「これは大変ですね」「職人技ですね」と、思ったことを素直に口にします。
共感されると、相手は安心して、本音を話してくれます。その中に、次のような小さな一言が出てきます。
- 「ボタンの位置が離れていて、押し間違えることがある」
- 「毎回、同じ内容を何度も入力している」
システム全体の構成を考えているだけでは、気づきにくい話です。
「システムで改善できる」は、思い上がり
私は、「システムで改善できる」という考えは、SEの思い上がりだと思っています。実際に毎日操作する人の意見こそが、一番大切です。
操作する人の視点で、画面の並びや操作の流れを考えると、まず使ってもらえるシステムに近づきます。使いにくいシステムは、少しずつ使われる回数が減り、慣れた別のやり方に戻ってしまうからです。
もちろん、すべての要望をそのまま実現するわけではありません。効果の薄い改修や、意味のない変更を求められることもあります。その場合は、頭ごなしに断らず、代わりの案を示すようにしています。
目を合わせるのが苦手な場合
目を合わせるのは、いまだに苦手です。そこで、相手の手元を見たり、顔の細部ではなく全体の雰囲気を見たりしています。画面に資料を映している場合は、モニターにも目を向けます。視線が合わなくても、体を相手に向けてうなずきながら聞くことで、「ちゃんと聞いている」は伝わると感じています。
2. 技術を見せようとせず、相手の言葉で話す
そもそも、私は自分の技術力が高いとは思っていません。この前提があると、話し方が変わります。
技術力を示そうとすると、どうしてもIT用語が増えます。でも、現場の人にとって大切なのは、「何が変わるか」と「自分の作業がどうなるか」です。「データベース」「サーバー」といった言葉よりも、「入力の手間が減ります」「見る画面が1つになります」のほうが、伝わります。
意識しているのは、次の2点です。
- 現場で普段使っている言葉を、そのまま使う
- 説明の最後に、「つまり、○○さんの作業はこう変わります」と一言で言い直す
知らないことは、知らないと伝えて、教えてもらいます。教わる側にまわると、現場の人も話しやすくなります。話しやすさは、話し方よりも、言葉選びと姿勢で決まると感じています。
3. 要望を聞いていれば、見せられるものを持っていく
初回の打ち合わせの進め方は、事前に要望を聞いているかどうかで変えています。
要望を事前に聞いている場合
打ち合わせの前に、画面のモックアップを簡単に作っておきます。道具は、Visual Studio Codeに入れた拡張機能の「Draw.io Integration」です。
この道具の良いところは、次の2点です。
- 簡単な操作で、ボタンや入力欄を並べた画面イメージを作れる
- 会話の中で、その場で配置を変えて、すぐに見せられる
実物があると、イメージがつきやすくなります。相手は、「ここが違う」「こうしたい」と具体的に話してくれます。たとえば、「ボタンが遠くて押し間違える」という話が出たら、目の前でボタンを動かして、「これならどうですか?」と見せられます。言葉だけで説明するより、ずれを早く見つけられます。
また、「こんなものを作ってみました」と見せられるものがあると、会話の入り口に困りません。人見知りの私には、ありがたい利点です。
要望を事前に聞いていない場合
何も作らずに行きます。相手の要望がはっきりしないうちに作ると、的外れになりやすいからです。
初回は、次の3つの認識合わせに絞ります。
- 何に困っているか(要望)
- どのくらい急いでいるか(急ぎ具合)
- いつごろまでに、という目安(スケジュール感)
完璧でなくても、まず見せる
どちらの場合も、完璧な提案を作り込んでから行くより、粗いものを先に見せたり、状況を先に聞いたりしたほうが、現場の実態とのずれを早く見つけられます。「完璧じゃなくても、まず行動」は、私の信条でもあります。
まとめ
現場と話すときに気をつけていることは、次の3つです。
- メモもパソコンも手放して、現場の作業を見せてもらう
- 技術を見せようとせず、相手の言葉で話す
- 要望を聞いていれば、見せられるものを持っていく
どれも特別な話術は必要なく、人見知りでも続けられるものばかりです。
現場とITの「あいだ」をつくるのが、社内SEの仕事だと思っています。これからも、現場で見えたことをこのブログに記録していきます。

